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那智の滝に行きたい!(那智滝/布引の滝/荒滝/松山滝/鼻白の滝)

冬も終わり、春の若葉が出てきたこの季節。冬の間、滝にしばらく行ってなかったので、どーんと滝に行きたい気持ちが盛り上がってしまった。今回は、以前からずっと行きたいと思っていた那智滝に行くことに。なんてったって日本三名瀑のひとつだし、世界遺産だし、ご神体だし、今の落ち着かない私の心模様にはぴったりだと思った。

那智の滝ここまで近づけました

那智の滝ここまで近づけました

天気は晴天。車を走らせると、そこはもう人がいっぱい!観光名所らしく、お土産物屋さんが自分の駐車場に次々と車を誘導している。混んでいる中、私は運良く途中のお土産物屋さんに駐車することが出来た。お土産物屋さんが並ぶ坂道から山を見ると、もう那智滝の上部が見えている。山の上から落ちるその姿にすでに圧倒される。まず真っ先に熊野那智大社別宮飛瀧神社へ。鳥居をくぐると、うっそうとした森の中に一筋道が舗装され、木々の間からその姿を見ることができる。滝と森と空がひとつになっている不思議な景色がそこにあった。道を進むと社務所のある広場へ。滝は目の前、正面に悠久の時を経て今なお神々しく水を落としていた。しばらく眺める。滝を感じる。来たいと思っていたところに、来たんだなぁ、と実感。そこから左手に、有料でもっと近くで見れる観瀑台があるという。もっと近くへ!と迷いもなく奥へ進んだ。奥の観瀑台からは、先ほどの場所からは見えなかった滝つぼがわずかながら見ることができた。それにしても大きい。そしてまっすぐな滝だった。山を割って、一筋に、絶え間なく流れている。昔々から、この滝が神格化され、奉われてきたのには、ちゃんと理由がある気がした。長時間、十分に滝を堪能してから、次は熊野那智大社本宮の方へ。来た道を戻り、道を渡って滝の向かいにそれはある。本宮に向かう石段は、熊野古道の一部だそう。やや急な登り階段を登りきり振り返ると、あの観光パンフレットによく載っている写真、三重塔の脇に那智滝が流れ落ちている景色を見ることが出来た。本宮のあらゆる場所から滝が見える。この景色一帯が、神聖な場所なんだなぁ、と改めて実感。本宮でもあちこち巡っていたら、だいぶ時間が経ってしまった。とても素晴らしい場所だった。

三重の塔と那智滝 三重の塔から見た那智滝

三重の塔と那智滝と三重の塔から見た那智滝

さて、今回の目標はこれで達成。あとは気になる場所に時間のめぼしをつけてまわることにした。思いつきで欲張って、三重県の百選のひとつでもある布引の滝に向かうことにした。これを見ることができれば、今日で2つの百選を見たことになる。ちょっと那智滝から距離はあるけれど、日が暮れる前に行っておこうと那智滝を後にした。

布引の滝

布引の滝

熊野川沿いに車を走らせ、途中から楊枝川沿いに分岐を進む。道はどんどん狭くなり、道沿いの民家も少なくなって、山道になってきた。今回あまり下調べもせずに、勢いでここまで来たのでちょっと不安にもなったが、道沿いに布引の滝の看板はいくつか確認することが出来たので、間違ってはいないはず。でもあとどのくらいだろう?と思っていると道沿いに車を止めて、カメラを構えている方の前を通り過ぎた。どうやら、今の場所も滝があったようだ。というか、今の人は私と同じ滝好きな人か…とちょっと安心しつつ、さらに奥へ進むと、道の左側が急に開けて、布引の滝が現れた!しかもまた、違う方が熱心に写真を撮っていた。確かこの滝には駐車場があるはず…と少し先に進むと、路肩が小さな広場になっているところに出たが、あいにくと車で埋まっているその広場にある看板を確認すると、どうやらここが駐車場らしく、そこから先、1kmほど歩くと、小滝という滝もあるらしい。どうしようか迷ったが、もう結構いい時間だし、今まで進んできた道沿いにもいくつか滝があるようだったし…と、いうことで、小滝はあきらめて路肩に邪魔にならないよう車を止め、遠望できる場所に向かった。先客の方がまだいらっしゃったのでまずはごあいさつ。布引きの滝は、予想以上に大きくて、滑らかな岩肌を滑り落ちるように水が流れ落ちていた。滝の途中には見事な釜があり、静かに水が注いでいる。滝つぼは青とも緑ともつかない色で、かなり深そうだ。私がすごく良い滝だぁ~言いながら写真を撮っていたので、自然とそこにいらっしゃったご夫婦の方とお話しながら見る形になった。女性の方が山道が長くて大変だったわぁと違う意味でのため息をついていたのに対して、男性の方は黙々と写真を撮っている。滝を見にいらっしゃったんですか?と言われたので、「はい!滝が好きなので」と答えたら、女性の方が「この人も滝が好きでねぇ、全国を回っているんですよ」と微笑んだ。その方々は鳥取から来たそうで、私が埼玉から来たことを教えると、男性の方が急にこちらを振り返って、「丸神の滝にいかれましたか?どうでした?どんな滝でしたか?」と勢いよく聞いてきた。私がこうこうこういう滝ですよ、と教えると、まだ行ってないのでぜひ行きたいと思っているというお話しだった。一通り滝談義でもりあがったところで、私は来た道を戻ることにした。

松山滝

松山滝

えーと、さっき写真を撮っていた人がいたところは…と場所に注意しながら道を下っていくと、さっきは気づかなかった滝が現れた。小さいけどちゃんと看板もある。荒滝というらしい。車を路肩に止め、滝を眺める。なかなか美しい渓流瀑だ。まったくこの滝の存在を知らなかったので、気がつけてラッキーだった。そうこうしているうちに時間がせまる。さっきの滝を探さなきゃ!とまた道を下る。するとあった!短い橋の向こうに滝がある。看板もちゃんとある…けど、真ん中に穴が開いていてなんて書いてあるかわからない…。最後の「滝」という字だけが読める…。まぁ看板があるくらいだし、ちゃんと名前のある滝のはず。また路肩に車を止めて橋の柵を越え、正面から滝を眺める。木々がうっそうとしていて暗いけど、上は何段かありそうだな…けれどここからじゃ上部が見えない…。私が覗き込んでいると、下から車がやってきた。同じく車を止め、男性が降りてきた。まずはあいさつ。その方も「あんまりよく見えないなー」と言いつつ一緒に観瀑。この看板読めませんよねぇ?なんて話していたら、その方は車に戻ってなにかごそごそと取り出してきた。「これこれ、この滝だよ!」と見せてくれたのは新聞の切り抜き。「松山滝っていうんだってさー!写真が一緒だもん。これだよ」と、親切に教えてくれた。私はさっそく忘れないようメモを取る。ありがとうございました!とお礼を言い、車に戻ろうとしたら、また下から車がやってきた。私の横に車を止め、布引の滝ってこっちであってる?と聞いてきた。まだこの先1kmくらいですよ~。もう少しですよ~。と答えると、「あと1kmかぁ~」と言いながら上にのぼって行った。

すごいな~。滝目当ての人(滝好きの人?)がたくさんだ~!と内心嬉しくなりながら、車に戻った。これでこの辺りの滝は終わりかな、と道を戻ると、「隠れ滝」の看板を発見…。う~ん、気になるけど、道路からは滝が見えないし、調べてもこなかったからここからどのくらい山に入ったところにあるのかわからないし時間もないし…ということで、次に来た時に絶対見るから!と心に誓いつつ、今回は諦めることにした。そこからさらに戻ると今度は「大滝」の看板が…いったいここら辺にはいくつ滝があるんだ!ちゃんと調べてから来ればよかった!こんなに滝だらけだなんて!嬉しいけど悲しいよぅ!…今回は大滝も諦めて、国道に戻った。

はるか上から落ちてくる鼻白の滝

はるか上から落ちてくる鼻白の滝

やりきれない気持ちを抱えて、国道に戻ってきたがまだもうちょっと時間がありそうだ。なんの情報もないけど、地図にある鼻白の滝が気になる…。よし、時間かかりそうだったら戻ってくればいいし、ひとまず向かってみよう!と次の滝を目指した。鼻白の滝は渓流沿いの国道から枝分かれする道を奥へ進んだところ。路肩に車が数台止められる広場があった。そこへ車を止め、道を少し歩くと、道路沿いにあった渓流が道から離れ、山へと向かっている。道路から渓流に向かう入り口に鼻白の滝の看板があった。ここが鼻白の滝の入り口である。ここから10分ほど、整備された山道を進むと立派な滝が現れた! 大きい!圧倒される!はるか上から水が落ちている!立派な2段の段瀑。でも大きすぎて上が見えない!上を見ると首が痛くなってくるほどのスケールだった。滝つぼ付近には大きな岩がゴロゴロしている。あっちの岩の上に立ったりこっちの岩の上に移ったりと、いろんな角度から滝を眺めてみる。でも滝が大きいのと、立ってる場所が滝に近いので、とても全景をこの目に納めることができない。でもこれだけ近づける滝も珍しい。もう陽も傾いてきた時間だったが、滝から吹き降ろす風は爽やかで、水しぶきを浴びながら、滝の落ちる音を聞いているとなんとも心地いい。計画もなしに突然訪れた滝だったが、今日観た滝の中で一番良いと感じる滝だった。

これで今回の滝巡りは終わり。手に持っている地図にはほかにもたくさんの滝の印があり、どれも行ってみたい気持ちでいっぱいだったが、時間切れとなった。さすが、以前から紀伊半島は滝の宝庫と聞いていただけのことはある。行ってみたい滝を全部行くには、もっともっと時間が必要だ。あとひとつ後日談。あれだけ感動した鼻白の滝は、駐車場からさらに道を登ると、道から全景を見ることができる場所があったらしい。う~ん、下からじゃ上段が見えなかったし、全景見たかったなぁ。次に訪れるときは、ぜひ、見に行こう。