日光隠れ三滝
滝めぐりにいよいよハマりだした管理人。この時は何度目かの日光訪問だったが、今回は完全に滝を目当てに意気揚々と出発した。
目的は、有名な霧降の滝のさらに奥にある、日光隠れ三滝と呼ばれる滝群。事前に、「霧降の奥に良い滝があるよ。」と情報を得ていた私は、おおよその出発地点を調べてはいた。だが、私はまだこのとき超アウトドア初心者だった。天気は雨。霧降の滝駐車場に車を止めてまずは霧降の滝を鑑賞。ここにきて霧降の滝を見に行くのは滝好きとしてはずせませんね。さて、ここまで来たはいいけど、そんなに下調べもしていない。(調べてから来ればいいものをこの頃はまだそんな頭もまわってなかった。)そこで、駐車場にある売店のおじさんに念のため聞いてみる。「この奥に隠れ三滝があるんですよね?入口はあっちですか?」「…そこの駐車場の脇から歩いて行くんだけど…その格好でいくの?」「はいっ」…元気よく返事をした私の格好を見て不安そうな顔をする店主…。「けっこう大変な道だよ。その格好じゃぁ…」私はまだこのとき超アウトドア初心者。ろくな装備もしていない。特におじさんの親切なアドバイスにも耳を貸さず、雨具もない状態で、隠れ三滝コースへ突っ込んでいった。
小雨降りしきる中登山道に入ったらさぁ大変。滝までの道のりは登り下りの連続です。階段状に整備されているとはいえ、その階段の足場の土が侵食されたのか全部水たまりになっている。階段状の道の脇は雨水が流れている。もう汚れるとか濡れるとか考えてる場合じゃない。靴に水が入ろうが泥が跳ねようがバシャバシャと進んだ。途中、川があり、向こう岸に登山道は続いてる場所が。簡単な足場が組まれていたので川を渡る。きれいな清流でした。場所を考えるとこの清流は霧降の滝の上流にあたるのかもしれない。今、足の下を流れるこの水が霧降の滝となって流れ落ちると考えるだけでテンションが上がります。
丁字の滝 正面からだとド迫力!
川からまたしばらく進むと、左に丁字の滝、右に玉簾の滝の看板が。たぶん丁字の滝が順路かな?と左を選ぶ。すると現われました!激しく水しぶきを上げ勢いよく落ちる丁字の滝が!!高さはそれほどでもないものの、雨天候の中なので水量が多いのかあまり近寄らずとも水しぶきが飛んできます。特に柵などもないため、近づけるだけ近づくと、迫力が違います。思っていた以上の力強さに大満足。
玉簾の滝
続いて来た道を戻り、分岐点にあった看板を玉簾の滝の方に進む。15分ほど歩くと、立派な観瀑台が現れた。左手に渓流があるが木々に囲まれていてよく見えない。観瀑台から覗き込むように渓流の方を見ると、木々の間から玉簾の滝を見ることができた。しかし、いまいち木々が邪魔をして全景が見えない。形状が渓流瀑なので、ゆったりとした、岩肌を流れ落ちる優雅さがあった。おそらく、木々が視界を邪魔しなければ、幅もあるし結構スケールの大きな滝なのだろう。全景が見えないのがとても残念。ここの観瀑台は立派で、ベンチもあり、休息をとるにはぴったりだろう。
次は最後の滝、マックラ滝を目指す。30分ほどひたすら登山道を歩く。…と、あれ?木々の向こうから車が走っているのが見える…。ん?「マックラ滝あっち」の看板とともにアスファルト舗装の立派な道路が現れた!さっき見えていた車は、この道を通っていたのである。あれ?山奥に向かってると思っていたのに、道路に出てしまった…。でもマックラ滝への看板は道路の向こうを指している。突然の人工物にいささか拍子抜けしたが、山道は道路を越えて向こうに続いているらしい。看板を信じ、道路を越えてまた山道に入ってすぐ、マックラ滝が現れた!
マックラ滝
マックラ滝はその名の通り薄暗い山間の断崖に、妖艶な魅力を放ちながら落ちていた。苔むしたガレの山。ここから地質が違うのか、黒々とした岩肌が、闇の効果を出している。滝は上から下へまっすぐと、この黒い空間を切り裂くように落ちていた。滝の形と、周囲の雰囲気の相乗効果で、ひときわ異彩な雰囲気を漂わせている。これを書いている時点で結構な数の滝を見てきているが、ここほど雰囲気のある滝は他にはなかった。
マックラ滝に大満足し、帰りは車道に戻り、車道を歩いて山を下ることにした。ずっと下りの一本道で、カーブが続く。一本道を抜けると、車止めのバー(?)で道が塞いであった。どうも歩いてきた道は一般にはこの時期開放されていないらしい。ちょうどバーの横に車を駐車して、山の装備をしている夫婦らしき人に出会った。ここまでしか車が入れないからここに車を止めて登山にでも行くのだろう。あとから知った情報だが、この場所まで車で来て路肩に駐車し、私が下ってきた道を使ってマックラ滝にショートッカットできるということだ。マックラ滝だけ見たい人はこのルートが手軽でオススメ。車止めから巡回バスの通る大通りに出るので、バス停まで歩き、霧降の滝駐車場までバスで戻った。雨で道が悪かったり、山の装備もせずに突入した隠れ三滝めぐりだったが、予想をはるかに超えた滝たちの魅力に、ますます滝が好きになった旅だった。